「おぅ。お前ら宝は見つかったのか?」


祐希が葉月の後ろから
ひょいと顔を出す。


「いや、いま着いたとこ」


うーんと大きな伸びをしながら
祐希に答える智。


「あたしたちさ〜、40分も前からここで宝探してるんだけど、全く見つからないんだよ〜…」


葉月が『ねぇ』と祐希に
呆れ気味に話しかける。


「ホントに宝なんてあるのかなぁ〜…」


「ぜったいあるよっ!!!!!」


「えっ…あるかな?」


「あるよっ!!!」


諦めモードに入りそうになった葉月を
必死にくい止める。


せっかくここまで来たんだもん!!
このまま帰るなんてできない!!!


「…葉月、先生と結ばれなくていいの?」


「えっよくない!!!!!」


私の問いかけで、
吐きかけだったため息を
いっきに吸い込んだ葉月。


智と祐希は
顔を見合わせてケラケラ笑っている。


「祐希!!早く見つけるよっ!!!」


「はいはい…ククッ」


まだ笑っている祐希を
無理やり引っ張っていく葉月。


あっという間に
本殿の奥に消えてしまった。