それからは、何気ない
会話ばかりで、
優奈やみんなのことについては
話さなかった。


出発してから、約20分後。
ようやく、お寺の本殿に着いた。


本殿は思っていたより
だいぶ大きく、
周りにはとてつもなく大きな木が
どっしりと構えていた。


ところどころサビがあって、
それがこのお寺の歴史を
物語っているようだった。


「うっわすげ!!!うっわ!!!」


とてつもなく大きなお寺を
見上げながら、
智は何度もそう叫んだ。


…まるで子供みたい。


智の横でくすっと笑う私。


「うぉっ!?あれ祐希たちだよな?」


「えっ?」


いきなり叫んだ智が指さす先には、
確かに葉月と祐希ペアが。


「あっホントだ。おーぃ!!!葉月ぃ!!」


「えっ…あっ由香かぁ〜」


葉月は
一瞬すごい形相で振り返ったが、
私を見つけたと同時に
ホッとした表情をみせた。


「えっ…どしたの?」


「いや〜、一瞬先生に見つかったかと思ってさ〜」


「あっそーゆーことか…」


少しホッとした。
何があったのかと思ったよ。

先ほどの葉月のすごい形相が
頭から離れない…。