バタンっ

「わぁ•••。」

車から降りると東京では見られない
沢山の星がちりばめられた夜空。

「すごい星!」

「あぁ、ここは山頂だから星がとても綺麗なんだ。」

「今は曇ってきて満天とはいかないけどね。」

陽介がふとに答える。

「満天の星空はもっとすごいんですね。!」

春花は感動しながら空を見続けて言った

ふと2人を見ると、ニコニコしている
陽介とニヤニヤしてる湊と目が合った。

(なにかしら・・・?)

そう思いつつ、初めて見た大きな入道雲や白い砂浜を思いだした。

(あの場所も素敵だったな…。)

「夏とはいえ、冷えてきたから早くしよう。」

そう言うと無言のままの湊と後ろからついて行く。

庭を通りインターホンを鳴らすと、祖父が出てきた。

少し曲がった腰にヒゲを沢山はやして
いたが髪は黒く短い。

初めてあったが親しく笑顔で迎えてくれてほっとした。

「母と父から言われて来ました、
桜井春花です。」

実際には手紙で話などしてないが。

「今日からお世話になります、よろしくお願いします。」

肩までの黒髪をバサリと下げてお辞儀
をして、戸塚兄弟に送ってもらったいきさつなど、簡単に話しをした。

• • • • • • • • •

「あの、今日は本当に有難うございました、ほんと何て言っていいか...。」

「ああ、好きでやった事だから気にしないで。」

祖父との話のすぐ途中で眠い、疲れたと
言って車に行った湊は欠伸しながら待っていた。