「聞きたいことはそれだけか?」

「はい……。どちらに行かれるんですか?」

「ちょっとな」

俺はそう言って、斎藤を部屋に置いて外に出た。

部屋を出たのは、斎藤にこれ以上、天宮の事を聞かれたくなかったからだ。

斎藤は天宮のことになると目の色が変わるんだよな。

目の色が変わった斎藤は本当に怖ぇ。

本人が気付いているかは分からねえが、あの眼は本当にヤバい。

「そういや」

天宮と言えばあいつ何してんだろうな。

部屋にいるのか?

そう思っていると、俺の足は自然に天宮がいる部屋へと向かっていた。

「天宮」

襖越しに声を掛けてみるが返事は無い。だが、人の気配はある。

できるだけ音を立てずに襖を開けると、部屋の主はそこにいた。

畳の上に横になっているため、一瞬倒れたのかと思ってヒヤッとしたが、規則正しい呼吸で眠っていることが分かった。

安堵の息を吐きながら天宮の傍らに体を屈める。

……天宮の顔をじっくり見るのは初めてだな。

本人が眠っているのをいいことに、改めて顔をじっくりと見る。

まだ幼さの残る顔。だが、長い睫毛に形の良い鼻、可憐な口元、全体的に整った顔立ちをしている。

なかなか綺麗な面してるじゃねぇか。

まぁ、見た目、歳は15か16って所だろ。

後4・5年も経てばもっと良い女になるだろうな。


あ゛~……残念だな。


…‥。


……。


……残念って何だよ。


餓鬼相手に何真剣に残念がってんだ俺。