「もう、いいです……。入隊は、諦めます……」
土方さんの着物を握る私の手は震えていた。
若い師匠の声と私に剣術の指南をしてくれた師匠は同じ声をしている。
だから若い師匠が否定すると私が知っている師匠から否定されているようで、聞くのが辛い……。
私が知っている師匠と目の前の人は違うって、頭の中では分かってる。
でも、やっぱり……やっぱり辛いです。
できればその声でこれ以上私を否定する言葉を聞きたくない。
「天宮……」
土方さんの低い声が私の名前を呼ぶ。すると、体を引き寄せられました。
引き寄せられた先は土方さんの腕の中。
「だったら総司。おめえが天宮をいらねってんなら俺が貰う」
「はい?」
土方さんの言葉に道場にいた人全員が唖然としてますよ。
「ちょうど身の回りの世話をしてくれる小姓が欲しいと思ってたんだ。いいだろ、天宮?」
「あの、その……」
「い・い・だ・ろ?」
「……はい」
そんな鋭い眼光で睨まれたら頷くことしかできません。
「はっ、土方さんも物好きですね。いいですよ、好きにしてください」
「後で欲しいって言っても渡さねえからな」
「まさか。天地がひっくり返ろうがありませんよ」
そう言って、若い師匠は私に背を向けて道場から去って行きました。
土方さんの着物を握る私の手は震えていた。
若い師匠の声と私に剣術の指南をしてくれた師匠は同じ声をしている。
だから若い師匠が否定すると私が知っている師匠から否定されているようで、聞くのが辛い……。
私が知っている師匠と目の前の人は違うって、頭の中では分かってる。
でも、やっぱり……やっぱり辛いです。
できればその声でこれ以上私を否定する言葉を聞きたくない。
「天宮……」
土方さんの低い声が私の名前を呼ぶ。すると、体を引き寄せられました。
引き寄せられた先は土方さんの腕の中。
「だったら総司。おめえが天宮をいらねってんなら俺が貰う」
「はい?」
土方さんの言葉に道場にいた人全員が唖然としてますよ。
「ちょうど身の回りの世話をしてくれる小姓が欲しいと思ってたんだ。いいだろ、天宮?」
「あの、その……」
「い・い・だ・ろ?」
「……はい」
そんな鋭い眼光で睨まれたら頷くことしかできません。
「はっ、土方さんも物好きですね。いいですよ、好きにしてください」
「後で欲しいって言っても渡さねえからな」
「まさか。天地がひっくり返ろうがありませんよ」
そう言って、若い師匠は私に背を向けて道場から去って行きました。