木刀の剣先を少し合わせた後、距離を置いて互いに攻撃の機会を計りました。

緊張で手の平にジワリと汗が滲みでる。

木刀が滑らないように握り直すと若い師匠が口元に笑みを浮かべた。

「来ないの?来ないならこっちからいくよ!!」

若い師匠が一気に距離を詰めてくる。そしていきなり顔目がけて鋭い突きが繰り出された。

でも、師匠もよくやっていた手なので私は体をずらして避ける。

「はぁ!」

すぐに師匠の懐に入り込み。木刀を下から上へと振り上げる。

若い師匠は驚いた表情をしましたけど、素晴らしい反射神経で私の攻撃を避けてしまいました。

「へぇ……。女なのにやるじゃない」

「ありがとうございます」

でも褒められるべきは貴方の方です。

私は師匠の攻撃を知っていたから避けることができたけど、貴方は私の攻撃を見るのは初めてだというのに、いとも簡単に避けてしまった。

反撃のタイミング、狙い所は完璧だったはずだ。

なのに避けられるなんて、やっぱり若くて生きていても師匠は師匠なんですね。

それからしばらく若い師匠と木刀を交えていると、私を見る目が変わってきていることに気付きました。

まるで、獲物を狩るような目。

そろそろ師匠の三段突きがきそうですね。