気合十分に道場前に立ちましたが、心臓が尋常じゃない速度で脈打っています。

早鐘が鳴る胸を押さえようとしても、一向に治まらない。

私は震える手で扉の取っ手に手を掛けました。

「失礼します!」

緊張を紛らわせる為に大声で道場の扉を開けました。

すると、中には土方さんを始め、斎藤さんに藤堂さんもいて、他にも数名の男の人がいます。

その人たちの視線が一気に私に集中して足が動かなくなりました。

「入れ」

「はっ、はい!」

土方さんに促され、私は道場の敷居を跨ごうとしたその瞬間

「ふぎゅぅ!!」

私のマヌケな声と、ビターン!と板を打ち付ける音が道場に響き渡りました。

私は自分の足に自分の足を引っ掛け、派手に倒れてしまったのです。

床に打ち付けた部分がジンジンと痛み、特に顔が痛かったです。

鼻から何か流れてきましたけど、鼻水でした。鼻血じゃなくてよかった。

「大丈夫か」

「はい」

心配した斎藤さんが私の所に来てくれました。

そして熱をもつ額に斎藤さんの冷たい手が当てられました。何ですか、この展開。

乙女ゲームに採用されそうなシチュレーションですよ。

「赤くなってる」

「大丈夫です」

グッと拳を握りしめて微笑むと、斎藤さんが微笑む。

至近距離からの微笑みの破壊力は凄まじいですね。