「あ、わっ!」

龍馬さんに腕を強く引かれ部屋を出た。

「龍馬さん、どうしたんですか?」

「……」

龍馬さんは無言のまま店の中を歩く。

そして空き部屋まで来ると中に押し込められた。

「あのっ、一体どうしっ……」

口を開きましたが、龍馬さんの怒りと悲しみが混ざった目を見た瞬間、声が出なくなりました。

薄暗い部屋で二人っきり。

唯一の出入口には龍馬さんがいる。

それを理解した途端、胸の奥がザワザワと疼き足が震えました。

「蒼蝶」

掠れた声で名前を呼ばれる。

いつもなら心が暖まって嬉しいのに、今は怖かった。

私と龍馬さんの距離が一歩ずつ縮まる度に私は後ろに下がった。

でも狭い部屋ではすぐに壁際まで追い詰められ、龍馬さんの腕に囲まれてしまう。

私を見下ろす目はとても冷たくて、今目の前にいる人は龍馬さんではない別人に見えた。