「そう?だったら蒼蝶に会いに毎日通おうかな」

「さすがに毎日は無理ですよ。稔麿さんだってお仕事があるでしょうから」

「蒼蝶のためなら仕事の一つや二つなかったことするから大丈夫」

「そんなことしたらダメですよ~」

部屋に充満するお酒の臭いに酔ったのか、私のテンションがおかしくなってきました。

それでも気にすることなく、稔麿さんと蓮華畑を走る恋人のように「フフフ」「ハハハ」と笑い合います。

それにしても、こんなに笑ったのはいつぶりでしょうか。

最近色々あって笑う暇もありませんでしたからね。

今、私が笑えているのは稔麿さんのおかげです。

「稔麿さん、ありがとうございます」

「何が?」

「それは……秘密です」

「えー、教えてよ」

私の肩に稔麿さんの腕が回される。でも、私は自分から離れるようなことはしませんでした。

「おい」

稔麿さんと戯(ジャ)れるようにしていると、背後から低い声がしました。

後ろを見れば龍馬さんが私たちを見下ろしていました。

私と目が合うと、稔麿さんに鋭い視線が向けられる。

「触んなや」

「……なに?蒼蝶は龍馬のものなの?」

稔麿さんの言葉に、龍馬さんは口を閉ざしました。

そして何も言わずに私の手を掴んだ。