それからも、龍馬さんたちの宴会は緩やかに続きました。

「龍馬はん、どうぞ」

「ああ」

ようやく私を解放した龍馬さんは千代菊さんにお酌をしてもらっています。

他の芸妓さんたちには近寄るなオーラ全開の龍馬さんですが、千代菊さんは大丈夫なんですね。

う゛~ん、龍馬さんの女嫌いの基準がよく分かりません。

「あーげは、何見てるの?」

「わっ!稔麿さん、いきなり驚かさないでくださいよ!」

「ははは、ごめんごめん」

お酒に酔っているのか、頬を微かに染めた稔麿さんが私の隣に腰を下ろしました。

「それで、何を見てたの?もしかして龍馬と千代菊?」

「……はい。確か龍馬さんって女嫌いでしたよね。なのに千代菊さんは平気なんだなって思って」

「あ~、なるほどね。龍馬が言うには千代菊とは昔からの知り合いなんだって」

「そうなんですか……」

「もしかしてヤキモチ?」

「ち、違いますよ!」

どうして私が龍馬さんにヤキモチを妬かなければならないんですか!

そもそも恋人同士でもないのにヤキモチを妬くとか変ですよ!

……でも、目は自然と龍馬さんと千代菊さんの方に引き寄せられる。

そして、胸の辺りがモヤモヤしているのは事実でした。