そして土方さんの部屋に到着し、了承を得てから中に入ると

「蒼蝶ちゃん!」

「千代菊さん」

千代菊さんと角屋の女将さんがいました。

そして土方さんと近藤さんの姿もあります。

「どうしたんですか?」

「蒼蝶ちゃん、忘れたん?近いうちに屯所に行く言うたやん」

そう言えばそうでしたね。

組長と並んで後ろの方に座ると、土方さんが一つ咳払いをしました。

「それで話って何だ」

「そこにいる蒼蝶ちゃんをしばらくの間、角屋で働かせて欲しいんや」

「「「はぁ!?」」」

部屋にいた土方さんが驚きの声をあげました。

私も口ポカーンです。

「今、角屋では風邪が流行っててな人手が足りないんや。

このままじゃ角屋は潰れてまう。だから蒼蝶ちゃんに働いてもらいたくてな。

角屋が潰れたら新選組の皆はんは困るんとちゃいます?」

確かに新選組はよく角屋に出入りしている。角屋が潰れたら新選組は困りますね。

「でもさ角屋で働かせるって言っても天宮さんは舞とか出来ないよ」

「沖田はん、角屋の仕事は芸妓だけやない。裏方の仕事もあるんや」

「裏方……ですか?」

首を傾げている私に女将さんが説明してくれました。

「裏方は掃除や部屋の準備、そして膳運び……まあ簡単に言えば雑務をするんや」