「……分かった。ウチ、山南さんに想いを伝える」

「そうや、その方がええで!」

「ありがとうございます!」

明里さんが決心してくれたことにより、山南さんの未来を変える希望の光が見えた気がしました。

これで山南さんを助けられる。

そう思ったら胸が温かくなりました。

明里さんの部屋を出た後、私は千代菊さんと一緒に玄関に向かっていました。

「千代菊さん、今日はありがとうございました」

「こっちこそありがとな。明里ちゃんの明るい顔久しぶりに見れたわ」

「山南さんと明里さん上手くいくと良いですね。……あのっ、千代菊さん。明里さんと山南さんをしばらく二人っきりにできないでしょうか」

「う~ん、それは難しい注文やね。ウチら芸妓には休みはないからな……」

芸妓の世界の厳しさは、本などで調べていたから知っている。彼女たちには休みなんて殆どないんだ。

でもやっぱり、山南さんと明里さんを二人っきりにさせてあげたい。

千代菊さんもその気持ちは同じらしく、何か方法がないか悩んでいました。

「蒼蝶ちゃん」

「はい?」

「二人の為なら何でもできるかいな」

いきなりの問いに、クエスチョンマークが浮かびますが、私は「はい」と返事をしました。

「何かいい方法があるんですか?」

「う~ん、どうやろうな。いい方法かは分からんが、近いうちに新選組の屯所にいくわ」

千代菊さんは一体何をするつもりなのでしょうか?

全く予想が出来ません。