「えーっと、速水くんは、それでいいの?私、速水くんの友達ってことで認識されちゃうよ?」
志賀先輩と比べてなんのとりえもない私が速水くんの友達代表(?)でいいのだろうか。
そんな心配をして訊ねると、速水くんは呆れた顔をして私を見た。
「……あんたは本当にどうしようもないね」
「え!?」
「俺があんたを誘うことが嫌だと思ってるなら、そもそもあんたまで話を回さない。陽たちがどれだけあんたに来てほしいって思ってたとしても、俺が拒んでる。
あいつらにやめとけ、って言ったのは、あんたが進んで来たいとは思わないことが分かってたからだよ」
そんなこともわかんないの、とでも言いたげな表情の速水くんだけど。
私のことを気遣って一度は断ってくれていたんだと思うと、なんだか少し、嬉しくて。
「……せっかく誘ってもらったんだし、行ってみる」
「そ。じゃあ陽にはそう言っとくよ」
あっさりと私の返事を受け入れた速水くんに、私はぺこりと小さく頭を下げた。
「お願いします」
「詳しいこと決まったら伝えるから」
「はーい」
私たちを照らす夕焼けは、いつの間にか夜の空気に変わり始めていて、さっきよりも吹く風にひんやりとした冷たさが含まれ始めていたけれど。
どうしてか、今はそんな冷たささえも心地よく感じた。