なんて考えながら、私はスマホをポケットにつっこんで、鞄にペンケースやらノートやらを詰め込み、立ちあがる。


すると、ちょうど隣では羽依ちゃんもリュックを背負って歩き出すところだった。


「明李も準備終わったとこ?それなら途中まで一緒に行こっか!」


ニコッと笑ってそう言ってくれた羽依ちゃんに、「ごめんね」と返すと、不思議そうな顔をされた。


「これから図書室に行かなくちゃならなくて」


野球部のマネージャーである羽依ちゃんがこれから向かうグラウンドと、私の目的地である図書室は、教室を出てそれぞれ反対方向にある。


「そっか。珍しいね?」

「うん、ちょっと用事があって」


私の言葉に、羽依ちゃんは首を傾げて、しかしそれ以上は何も聞かずに「じゃあまた明日」と元気よく教室を出ていった。


たぶん、のんびり会話をするような時間もないんだ。

練習前にもやることがたくさんあるんだ、っていつも授業が終わると超特急で教室を飛び出していくもの。