「なんだ、志賀先輩にする練習されてたの?私?

別にいいけど、急にするのはやめようよ。私は真剣に話してたのに、急にそういうことされたらびっくりするでしょ?」


「はぁ。晴山さん、あまりにも動じてないから、ちょっとヘコむ。これでも精一杯誘惑したのに」

「ゆうわく……」


そんなことされてたんだ、私。

全然気付かなかった。


「まさか晴山さんが誘惑返ししてくるとは思ってなかったし」

「……へ?」


少し拗ねたような顔で私を睨んでくるけど、意味、分からないんですけど。

誘惑返し、ってなに?


「……油断した。あんたも女だったね」

「なにそれっ!?」


今日一日一緒にいて、やっと女の子認定されたの!?

ここで!?


ガーン、とへこんでいると、ふっと小さく笑った気配。