「それに、ごめん。俺の方が八つ当たり。晴山さんが頭の回転遅いのなんて知ってるんだから、今更そんなとこ責めても仕方ないよな」
「……それ、本気で謝ってるの?」
自分の頭が弱いことは、私だって重々承知してますけど。
そんな面と向かって言わなくてもいいと思う……!
不満に頬を膨らませたら、「本気だって」と笑われた。
「あのね、私のは本気なんだよ、ちゃんと。速水くんにはそう聞こえなかったかもしれないけど、本当にごめんなさい、って思ったの」
本心がなかなか言えないのは本当だけど、「ごめん」の言葉だって私の本心で。
逃げるためだけの方便なんかじゃない。
「……ていうか、どうしてこんなに私達、距離近いの?」
少しずつ私の方に近づいてきていた速水くんに、私はついにその疑問を口に出した。
いつのまにか私の真上に速水くんの顔があるような距離まで縮められていたから。
さすがに、「近づいてきてる気がするけど、気のせいかなー?」なんて思えなかった。
「ん?」