「うーん、じゃあ何がいいのかなぁ」
ぶらぶらと店内を歩き回りながら、良さそうなものを見つけては「これは?」と聞いてみるけど、速水くんはなかなか首を縦に振ってはくれなかった。
はじめにいた雑貨屋さんを出て他のお店も見てみる。
選びはじめたときは、それぞれで店内を見て回って、話しかけるときだけお互いのところに行くような感じだった。
だから速水くんと一緒に買い物をしてるんだ、という意識はあんまりなかったんだけど、4件目のお店を見ながら、ふと。
そう言えば、いつの間にか会話をしながら商品を見ていることに気が付いた。
……え。
速水くんと、会話が続いている!?
「これとかどう……、何、どうかした?」
最後まで言葉を紡ぐ前に速水くんが、衝撃の事実に脳の動きをストップさせていた私の様子がおかしいことに気付いたらしく、怪訝そうな顔で私を見た。