やがてメンバー全員が揃うと、新しいメンバーから引退するメンバーへ、ひとりひとり可愛らしいブーケを渡していく。
おつかれさまでした、そう言ってブーケを渡された先輩たちは、みんな嬉しそうに笑っていて。
その充実感に溢れた笑顔がとてもまぶしい。
「……素敵だね」
私はなんだか温かい気持ちになって、自然と笑みがこぼれた。
「選ばれた人しか体験できない時間なのに……、連れてきてくれて、ありがとう」
速水くんの選挙の手伝いをできなかったら、私には知らない世界だった。
こんな温かい伝統に触れることなんてできなかった。
「何言ってんの。………あんたの言葉を借りるなら、晴山さんも、その選ばれた中の一人だよ」
速水くんの言葉の意味がわからなくて、私は思わず隣に視線を上げた。
すると、目が合った彼はにやりと笑う。
……え?
何、その笑い……。
なんだか嫌な予感がした私の前に、速水くんは手を差し出した。