「……晴山さん」

「なに?」


抱き合ったまま、名前を呼ばれて答えると、速水くんは少しだけ躊躇うような間を挟み、口を開く。


「……たぶん俺、あんたが思ってるよりあんたのことかなり好きだと思うんだよね」

「……へ?」


いきなりこの人は何を言い出すの?
と思わずこぼれたのは、我ながら間抜けな短い声。


だって、速水くん。

こんなことを言う人じゃなかったよね!?


「だから、ごめん。今ちょっと嬉しすぎて本気で我慢できない」


「な……っ、え」


密着した体勢はほとんど変わらないまま、くいっと器用に持ち上げられたのは私の顎。

近い距離で上から見下ろされて、目が合っても逸らすことなんてできなくて。


「……キス、していい?」

囁くようないつもより低い声に、ぞくりとした。


「え、えと、……っん」


返事をするより先に触れた唇に、一気に身体が熱くなる。

心臓が壊れてしまうんじゃないかと思うくらいにドキドキする。