「……それで出来上がったのが、あのスピーチだったんだよ」
羽依ちゃんに、事情をかいつまんで説明する。
すると、羽依ちゃんはしばらく言葉もなく私をジッと見つめていた。
そして、やがて浮かべたのは、どこか切なそうな笑み。
「どうしてだろ。愛娘がお嫁に行くのを見守るような気持ちになってるんだけど」
可笑しそうに小さく笑い声をこぼして、羽依ちゃんはそんなことを言った。
「えっ、お嫁!?」
何その例え!?
と私が素っ頓狂な声を上げると、羽依ちゃんはよしよし、とまた頭を撫でてくれた。
「明李、変わったね。あんなに立派なスピーチをできることにも驚いたけど、それよりもあんなに避けてた速水くんに意見できるようになったなんて。すごいよ」
そう言って私の頭から手を離し、笑みを深めてくれた羽依ちゃんに、私は「ありがとう」と呟く。
「明日、結果が出るのが楽しみだね」
羽依ちゃんの言葉に、私はコクリと頷いた。