私の言葉に「確かにそれもいいかもしれない」と頷いてくれた速水くんは、書き上げた原稿を潔くボツにして、新たなスピーチ原稿を書いた。

それを読んだとき、私は結構驚いたんだ。


こんなに素の部分を出した内容で、速水くんは大丈夫なの?

今までの印象、ガラッと変えちゃうと思うんだけど。

そんなふうに心配になってしまうくらい、最初の原稿からは正反対の内容になっていた。


……生徒会に入ってから、こういう失敗をして、とか。

背中を押されなかったら生徒会長にも初めは立候補するつもりはなかった、とか。

色々と思いがけない内容が多すぎて、びっくりしてしまった。


だけど、たしかに最初の原稿よりずっと、スピーチとしての面白さは格段にあがっていたと思うし、速水くんの人となりを分かってもらうには、こっちの方がずっといいと思った。


だから、こっちの原稿のほうがずっといいよ、と速水くんに笑ってみせたんだ。