……ドキドキ、なんて。
速水くんに対してそんなふうになるなんて、絶対にありえないって思っていたのに。
「……まだ、大丈夫、だよね」
まだ、大丈夫。
まだ、戻れる。
ドキドキしたなんて、きっと気のせい。
いつもと違う速水くんに、ちょっとびっくりしちゃっただけ。
「……うん。大丈夫」
────あんなに苦手だったんだもん、簡単に好きになんてならないよ。
ましてや、叶う望みのない恋なんて、そんなのつらいだけ。
自分を納得させるように呟いて、私は辿り着いた教室のドアを開けた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…