「……昨日はクッキー、ありがとね。うまかったよ」

「……え。あ、うん」


速水くんにお礼を言われた……!?

まさかの事態に、私は反射でしか言葉を返せなくて。


「あんまり強く投げつけてくるから、何個か砕けてたけど。……あんた、見かけによらず怪力なんだね」

「……はい!?」


怪力!?

女子にかける言葉とは思えない言葉に顔をしかめると、速水くんはふっ、と笑って、私の手を離した。


「怒るとこじゃないって。本当のことだろ。……じゃ、またね」


そんないつもどおりの可愛くない言葉と共に残されたのは、全くもって速水くんらしくない柔らかい笑み。


速水くんって。

あんなふうに、笑えたんだ……。