♯1
本日最後の授業の終了を告げるチャイムが鳴ったと同時に、教室の雰囲気が変わった。
早い人はあっという間に教室を飛び出して部活に向かっていく。
「ふー」
皆がガタガタと席を立っていくなか、私は椅子の背もたれに背中を預け、大きく息を吐いた。
なんだか、今日はいつもより1日が長く感じたなぁ。
グーッと伸びをして、私も帰りの支度をはじめようと机の横にかかっていたカバンをドサッと机の上に置いた。
隣の席の羽依ちゃんが私より早く帰る準備を終えて、立ちあがる。
「明李、また明日」
「うん、部活頑張ってね」
私の言葉に、「ありがとう」とにっこり笑うと、羽依ちゃんは教室を出ていった。
羽依ちゃんは野球部のマネージャーをしているから、放課後もすっごく忙しいんだよね。
「私も行かなきゃ」
ゆっくり準備をしていた私は、ハッとして立ちあがる。
ガタン、と後ろで椅子が床を叩く音がした。
カバンを肩にかけ、教室を出て歩き出す。
私は羽依ちゃんのように運動部でバリバリ頑張っているわけじゃないけど、部活には所属している。
羽依ちゃんにとって部活が頑張る場所なら、私にとってのそれは、癒される場所、だ。
「おつかれさまです」
ガラッ、と辿り着いた教室のドアを開ける。
「明李ちゃん。おつかれさま!」
「待ってたよぉー!」