「そ、そんな、私なんかが速水くんと仲良しなんて」

「俺、晴山さんと話したの半年ぶりくらいですよ」


私の必死の否定と速水くんの冷静な指摘に、高橋先生は「そうなのか?」とさほど興味もなさそうに言って、私と速水くんはぺこりと頭を下げると6組の教室を後にした。


「えっと、じゃあ、運んでくれてありがとうございました」

「別に」

私は速水くんにも頭を下げたけれど、速水くんは短く返事をしただけで、ふいっと私に背中を向け、自分の教室に入っていってしまった。


……あいかわらず、そっけない。


「はっ!」


って、のんきに速水くんの後ろ姿を見送っている場合じゃない!

慌てて時間を確認すると、次の授業まであと3分を切っていた。


急がなきゃ、間に合わない!

そう思って、私は自分の教室に向かって駆けだしたのだった。