ゴォォォォォ··················
コツ コツ コツ コツ..........
ポォン{11時25分発、ロンドンにご搭乗予定のお客様にお知らせいたします.....}
ウィーーン....... コツ コツッ
??:「5年ぶりのGiappone....日本ね。」
運転手:「失礼ですが、”広瀬”様でございますね?」
??:「! もしかして、尊(たける)さんのお付きの方かしら?」
運転手:「はい、中で旦那様がお待ちでございます。」
ガチャッ.........
??:「·····どうも。」
ギッ
杜下 尊:「・・・本当に帰ってきたんだね。」
??:「随分ご無沙汰してます、
警視庁警視総監・杜下 尊警視総監。」
杜下:「5年ぶりか。
”伝説の女総長・広瀬 怜夜”が、日本の地に降り立つのは。」
広瀬:「そんな仰々しい言い方しないで下さいます?
それに、もう昔の話ですよ、”伝説”は。」
杜下:「ふっ、よく言うよ。」
運転手:「それでは、警視庁にお戻りします。」
杜下:「あぁ、そうしてくれ。」
広瀬:「5年も経てば、てっきり隠居なさるかと思いましたけど、まだまだ現役ですね。シワは増えたみたいですけど。」
杜下:「余計なお世話だよ。
それより、教えてもらえるかな。」
広瀬:「何をです?」
杜下:「日本に戻ってきた理由だよ。
そう安易に帰る事は無いと自分で言っていたではないか。」
広瀬:「確かに言いましたけど、少しくらい休ませてくださいよ。長旅で疲れてるんですから。」
杜下:「·····マイペースなのは変わってないね。」
広瀬:「尊さんこそ、感心しませんね。
こんなモノを潜ませておくなんて。」
スッ ゴソゴソ...... スッ
杜下:「! バレたか。」
広瀬:「盗聴器で私の肉声を残そうとするなんて、浅はかですよ。
”私の肉声は絶対に残さない”って、約束したのに。」
杜下:「·····仕方ないだろう。政府からの要求でもあるんだから。」
広瀬:「相変わらず諦め悪いんですね、日本政府は。他の国連加盟国はスンナリ諦めてくれたのに。」
杜下:「·····君には何個も聞きたいことがあるが、先に警視庁に来てもらうよ。
ある人物が、君のことを待っているからね。」
広瀬:「あら、どなたかしら?」
杜下:「会うまでのお楽しみだよ。」
ブロロロロローーーーー············
・・・・・ 30分後・・・・・
ガチャッ
広瀬:「ありがとうございます。
わぁ、久々に見たわ。」
杜下:「あまりうろつかないでくれよ。
君が帰ってきた事は、まだ誰にも言ってないんだからね。」
広瀬:「分かっていますよ。私だって、まだ誰にも知られたくありませんからね。」
杜下:「·····部屋に案内しよう。付いておいで。」
コツ コツ コツ コツ··············
広瀬:「·····やっぱり5年も経つと、雰囲気が変わりますね。」
杜下:「そうかい? いつも通りだとおもうがね。 まぁ、随分と来なかったからね。」
広瀬:「ふふ、何だか懐かしいです。」
杜下:「さ、僕の部屋は最上階だ。」
ポチッ ウィーーン·······ポォンッ ウィーーン·······
杜下:「こっちだよ。」
広瀬:「さすが、警視総監ってだけあっ て、いい所に部屋がありますね。」
杜下:「おだてても何も出ないよ?」
広瀬:「率直な感想を言っただけですよぉ。」
ガチャッ
杜下:「待たせました、連れてきましたよ。」
広瀬:「? ·····! あなたは······。」
??:「・・・本当に帰ってきたとは。」
広瀬:「·····お久しぶりですね。
随分とお痩せになったようですが、覇気は健在ですね。”野坂 文則”社長。」
野坂:「·····君の妙な威圧感も健在じゃないか。」
広瀬:「新聞社社長からテレビ会社社長になった事は耳にしていましたが、どのみち取材はNGですからね。」
野坂:「承知しているよ。俺が君に会いに来た理由は、ただ単に ”仕事” の依頼をしに来たんだ。」
広瀬:「 ”仕事” ·····ですか?」
野坂:「依頼内容はこの書類にまとめてある。」
ガサッ···
広瀬:「拝見しますね。
·····! 警視庁との合同警護・・・ですか。」
杜下:「野坂社長と相談して決めた捜査官がもうすぐこの部屋に来る。」
野坂:「警護対象者は、国民的アイドルグループの ” 夜桜 ” だ。」
広瀬:「今をときめく、大人気グループですね。海外でも、その名を轟かせていると聞いています。」
野坂:「本当は、” 夜桜 ”が所属している芸能事務所の社長自らが、ここに来る予定だったんだが、急用が入ってしまったらしくてね。社長と古くからの付き合いがある俺が、代わりに来た訳なんだ。」
パラッ パラッ·····
広瀬:「なるほど···。
それにしても、随分仰々しい内容の脅迫状ですね。
{夜桜が司会をする特別番組収録を中止しなければ、収録スタジオを爆破する}·····。」
杜下:「最初はイタズラだろうと思ったんだが、芸能事務所の社長が強く懸念していてね。僕の所に話が転がり込んできたという訳だ。それで、どうしようかと思案している時に」
広瀬:「私から帰国の電話があったと。」
杜下:「そういう事だ。」
広瀬:「確認したいんですが、その芸能事務所社長は、私の所に話が来ていることを知っているんですか?」
野坂:「いや、俺と杜下警視総監しか知らない。2人で話して決めたからな。」
広瀬:「そうですか。」
杜下:「引き受けてくれるかい?」
広瀬:「えぇ、喜んでお引き受けさせていただきますよ。
報酬は、私がいなかった5年間の、日本の裏社会に関する全ての情報で結構です。」
杜下:「・・・膨大な報酬だな。」
野坂:「とんでもない量だぞ?」
広瀬:「あら、お金の報酬よりかはマシだと思いますよ?
この特別番組が収録される会場の広さから考えて、かなりのお客様が来られるでしょうし、規模を踏まえて推算すると、軽く億単位超えますからね?」
野坂:「・・・一応聞いておくが、君の今現在の仕事報酬単価は、いくらぐらいまで上がったんだ?」
広瀬:「ふふ、それなりに上がってますよ?
海外の”お客様”方が、たくさん報酬を払って下さいましたので。」