「亜季、逃げないでね」



そんな時、急に由佳理が真面目な顔をして言った。

しかも、それはどこかで聞いた言葉。

最近、誰かに言われた気がする。


答えが出ないまま、車は目的地に着いたみたいで止まった。

由佳理が降りるのを見て、私も車から降りる。

未だ考え事をしたままで、由佳理のあとをついていく。

とりあえず、食事と言いながらどこかのお店ではないらしい。



「みっちゃん!」



由佳理が彼氏の名前を呼んだ。

その先には、確かに彼氏がいた。

私は高校卒業以来だけど、間違いなくみっちゃんがいた。

ただ、その隣にはもう1人いた。

キャップをかぶり、サングラスをしている背の高い男。

2人が私たちに気付き、何かを話している。