―――黒猫が横切った。 …私の目の前を どこに向かうのか、 私にはわからない。 ただ颯爽と、駆けていく。 私はそれを目で追い掛けるだけ。 その時、ふいに立ち止まり、 後ろを振り向いてきた黒猫と 目が合った。 澄みきったコバルトブルーの瞳を 私へと向けてくる。 しばらくして、黒猫は前を向き 走り去っていった。