一番怖いのは…孤独だ。 それを知ったのは…7歳のころ__。
私の名前は、宇佐美 新菜。
あの、宇佐美グループの社長令嬢。
私の周りは、はたから見れば、恵まれているかもしれない、
でも、実際は、違った…
私は、周りの人に気に入られないと、常に一番で、ないと…
いちばんじゃない私なんて…誰にも必要と、されないから。
私は、常に、周りを気にしていた。
それからなんだ…
私が・・・・・・・

無駄に虚勢を張るようになったのは__
私は、人との関わりを、拒絶した。
無駄に人の悪態を、つき__
そんな毎日が、堂々巡りを繰り返していくのを、
私が一番…嫌いなのかもしれない。

でも、今更、他人と関わるなんてこと、ハタハタする気もないのも

確かんなんだ…


あれからもう、9年……
あっという間だったというか__
長かったというか__

何とも言えない時間を過ごしてきた私にとってはどうでもいいことだが…

私も、もう高校一年生。16歳だ。

他人となんか、関わらない。その矢先に____


「おい、お前、どこ見て歩いてんだよ?」
・・・・・・・・・
「おい、聞いてんのか?」
・・・・・・・・・
周りがざわついている。

『あれ、高原 翔、じゃね?』・『うわ、まじかよ_』・『あいつ、やべーんだろ?』
『すぐキレるっつー噂だぜ?』・『本物の不良だぜ…』
耳に聞こえるのは、どれも悪い噂ばかりだ。
きっと、これが、不良、というものだろう。
私の一番関わりたくない人種だ。

「っち…完全にオミットかよ…こういうの?
なんか、扱いずれぇんだよ…はぁ…」
「っ__」
ズキン…目に見えない傷が、キリキリと痛む…
「おい、なんか言ったらど__」
「ちょっとはその小うるさい口を、閉じたらどうなんだ?
耳障りでうっとおしいんだが?」
「ぁ__?」
あ、またやってしまった。なぜか、癖で、人の悪態を、ついてしまう。
まぁ、これでこいつともおさらばなのだから、いいのだけれど…
と、思った矢先、目の前の不良は、思わぬことを口走った。
「お前、ちょっとこっち来い。」
そういって、強制的に腕を、引っ張られ、屋上へと、連れて行かれた。

「な、なにすんの?」
私は、ドギマギしながら攻撃的に前の不良に問う。
すると彼は、


「お前、何に怯えてるわけ?なんで、無意味に虚勢張ってんの?」

「え・・・・・・・?」

私は、声がでなかった。

こいつは何を、言っているの?
でも、彼は、そんなわたしの思考を、打ち破った。

「お前、それ何の意味もないでしょ?ただ、相手を、傷つけてるだけじゃん、周りばっか気にしてさぁ…それ、逆にただ、自分の自己満足じゃね?」
私の喉元にドス黒い感情が、渦巻く。

「あんたに何が、わかるの?周りから気が変になりそうなほどの期待を、寄せられ、
常に一番でないと…誰にも必要とされないこの、孤独を‼あんたには、分かるの!?」

初めて、他人に感情的になってしまった。

「っく__」

不良の短い声に顔をあげると、

「なっ‼」

なんと、笑っていたのだ。

「くくっ、」


「何笑ってんのよ‼」

私が、彼の胸を、殴ろうとした。でも、ヒョイっとかわされて、

「へっ__」

唐突の頭をくしゃっと撫でられた。

「なっ‼」


私は、うまく口から言葉を、紡ぎ出せないでいた。

「お前、ちゃんと、感情あんじゃん?結構、可愛いし?」

あぁ…

「俺が、そばにいてやろうか?孤独が、そんなに怖いならさ?」

こんなにも…

「ん?どうした?」

優しい人が

「ま、そりゃ、とまどうか。」

私を、こんな…

「ほぼ初対面だもんな。」

こんな私を、

「どうする?」

ただの他人だと、いうのに__

「俺の、女になる?」

必要と__

「ん?」


してくれて__

「えっ?ちょ、おまっ、泣いてんの?」

「ぁ…ㇼ…」

「え、なんか言った?」

彼の、その私に触れる大きくて、彼の事を、男だと、おもわせる大きな手が、

優しく私の頬に触れて__

「ありがとう。」

涙がでちゃう…。

「え、あ…お、おぅ…」

彼は、顔に、少々の焦りを見せた後、すぐまた、ニッと笑って

「じゃ、俺の女になるってことだな?」

「仕方ないからなってやらなくもないわ。」

「んだとぉ?」

彼が首に手をまわして少しきつくする。

「いたいっ、」

「ざまぁ、みろ、へへっ」

こうして、私は、一人の他人、いや、一人の不良と、付き合い始めた__。