「手術室」―――・・・・・・。

そう書かれた部屋に翔は入っていった。

私の思っていた以上に翔は酷い状態だったらしい。

さっき、言われた言葉。

『覚悟はしておいてください』

覚悟なんて。できるわけないじゃあないか。

私は翔と生きたい。

私は―――・・・・・・。

じわり、じわり、と溢れてくる涙がそっと頬を伝った。

誰かにいてほしくて。

翔にいてほしくて。

「翔・・・・・・」

ぎゅっと震える手を握った。

―大丈夫だよね。

 翔なら。今まで、何度もがんばってきたんだ・・・・・・―

その時、ガーっと言う音が聞こえてきた。

終わったんだ。

そう思うと同時に、私は出てきた先生に駆け寄った。

「先生っ・・・・・・翔は・・・・・・!?」

私が言うと、先生は目を伏せた。

それから、言った。

「・・・・・・ごめんなあ・・・・・・。」

それはたったの一言。

たったの一言だったのだ。

"ごめんなあ"

私は、こんなにも悲しそうな先生の顔を見るのは初めてで。

そして、こんなにも悲しい思いをしたのは初めてだった。