バタタタッ・・・・・・

雨が窓に当たって不快な音を出した。

――今日、翔とデートの筈だったのに・・・・・・

なんか、よくない事が起こりそう――

拭いきれない不安。

私は、ギュッとクッションを抱いた。









リリリリン・・・・・・リリリリン・・・・・・

電話の音が響いていた。

「・・・・・・?」

どうやら、家に誰もいないようだ。

ベルの音が大きく鳴り響く。

階段を下りながら、あくびをした。

「もしもし?」

私が言うと、電話の向こうからすすり泣いている様な声が聞こえた。

「あの・・・・・・?」

怖くなって聞き返すと、小さな声だけれど、何かが聞こえた。

『翔が・・・・・・』

その声から、文子さんだという事がわかった。

だが、何か様子がおかしい。

「どうしたんですか?」

『翔がっ・・・・・・いなくなっちゃった』

"いなくなっちゃった"

そう言われて、私は走り出していた。

翔・・・・・・翔・・・・・・翔・・・・・・

どこいっちゃったの――――――・・・・・・!?