少女は少年を抱きしめた。

雫が雨に混じって少年の頬に落とされた。

刹那、少年は――――








私――、湖冷 零羽(コヒヤ レイワ)は雪が降るなか、市内の総合病院へ向かっていた。

理由は幼馴染であり今年、『彼氏』というトクベツな存在になった朝生 翔(アソウ カケル)に会いに行くためだ。

ザクザクという音をたてながら真白い雪の上を歩いていく。

「バカ・・・・・・」

俯きながら私は呟いた。

今日は―――私の誕生日だ。

なのに・・・・・・

翔は、入院している。

風邪をこじらせ、それが悪化し肺炎になったらしい。

悪化した原因は私にあるのだけれど・・・・・・。

翔は生まれつき、病弱なのだ。

なのに私に会うからって、風邪ひいてるのに無理して・・・・・・。

はあ、と息を吐くと雪と同じくらい息が真白だった。

儚くて、すぐ消えてしまうイノチのよう。

私は見ていられなくなり、ゆるんだストライプピンクのマフラーをきつく閉めた。

「翔・・・・・・」

私は、衛生的な白に囲まれた病院内を歩いていた・・・・・・。