先輩の優しい穏やかな顔を見てたら…

俺…

もしかして…

「凛ちゃん、陽菜も」

「陽菜ちゃん…いつも会う」

「指切りしたいの」

陽菜がヤキモチ妬いてる。

ホントに親父に似てんな。

「はい」

先輩が陽菜と指切りしてる。

陽菜も愛も嬉しそうだ。

「じゃあ帰りましょうか?」

「うん。お兄ちゃん、これパパから」

「あぁ」

陽菜からお金を受け取り

「藤倉君、いいの?」

「はい。親父が陽菜達を押し付けたんですから当然です」

「押し付けたって…フフフ…じゃあごちそうさま」

「俺もごちそうさん」

店を出て悠が

「じゃあ。先輩、応援ありがとうございました」

「悠ちゃん」

「あ、陽菜ちゃん、愛ちゃんありがとう」

「うん」

「おい涼」

「ん?」

俺を呼んで耳元で

「サンキューな、先輩に会わせてくれて」

「……」

「俺、先輩に惚れそう」

「えっ?」

「じゃあな」

悠が自転車に乗って先に帰って行った。

――



悠が先輩に…

何か…

胸が騒がしい。

「お兄ちゃん、お兄ちゃんってば」

あっ!

「ん?」

「帰ろうよ」

「あ、あぁ」