「ねえ、香輔(こうすけ)くん!香ちゃんって呼んでもいーい?」


「ええ~~~」


「へへっ早く帰ろお~!香ちゃん!!」


「ふっ風香ちゃん!待ってよお!」



川沿いの道



幼い影が二つ並んで歩く




「私、風が好き!!香ちゃんの香りがするもん!パパとママもね、風が吹くと一緒にいるのがわかるから好きなんだって!!」


「だから風香ちゃんって言うんだねえ、僕も風香ちゃんの香り、好きだなあ」



えへへ、と笑う彼女の笑顔はどこかいたずらっ子のようで。





幼い二つの影は、長く長く伸びていった。