「、、、、懐かしいね、この道。」
-------フワッ
彼女が動くたび、彼女の甘い、懐かしい香りがする。
その香りにやはり目の前の彼女が亜香里なのだと実感する。
「って、恭ちゃんは覚えてるわけない、か、、。」
痛む胸には気づかないふりをして。
「別に、そんなことねえけど。」
「ふふ、変わらないね、恭ちゃん。相変わらずポーカーフェイスなんだから。」
ひどく自分が子どもに思えて
「亜香里はだいぶ変わったから、もう知らない人に思えるよ。」
突き放したかった。
『亜香里』そう呼んだのは自分なのに。
名前を呼ぶことが、ひどく久しぶりで、そんなことにさえ距離を感じて苦しくなった。