次の日、天野くんは清水くんと買い物に行くと言い、私はひとりで家に帰った。


清水くんは天野くんの友達で、ルミに天野くんのメアドを教えた人だ。


私は廊下で擦れ違った事があるくらいで、あまりよく知らないけど、茶髪のちょっとヤンキーぽい感じの人。


天野くんとは小学生の頃からの友達らしい。



家に帰ってからひとつだけ思い出した場所があった。

バスの終点付近にある映画館。

子供の頃、お母さんがアニメを見に連れて行ってくれた事がある。


夏休みの宿題でどこに行ったか作文を書かなくてはいけなかったんだ。


そのために連れて行ってくれた映画館。

私は懐かしさも込めて、行ってみる事にした。



再び戸塚駅へ。


そこからバスで三十分程の終点に映画館があったはず。


なんとなく疲れて、ぼーっとしているうちに終点に着いた。

終点は車庫になっていて、それは思い出と一致した。

確か、この道を右折した場所に映画館が。気がつくと私は走っていた。


思い出に急かされるように。