一階の外壁がベージュで、二階がライトベージュ。グラデーションみたいになっていて、屋根はブラウン。
幼稚園生だった私はこの家を見た瞬間、お菓子の家みたいだと思った。
ウエハースの壁にチョコレートの屋根が乗ったようなかわいい家だった。
「わー、おかしのおうちが、りおのおうちになった」
うきうきしながら中に入ると、真っ白な壁があって、お城に見えた。
「すごーい。おかしのおうちのおしろだー」
純粋だったあの頃。虐待が始まったのは、この直後からだった。
お母さんが守り抜いてきた白い壁。
今、その壁には水色の花瓶の破片が突き刺さっている。
お父さんはお母さんがお金を引き出しているかどうかを確認に銀行へ。
私はお母さんがパートをしているファミレスに行ってみる事にした。