お父さんに言おうとした。
でも言えなかった……。
私はお父さんの事が好きだったから。
誕生日やクリスマスには必ず大きなケーキを買ってきてくれた。
二人で動物園や遊園地にも行った。
お母さんは頭痛がすると言って寝込んでいたけど、その時は私もお母さんが一緒に行かない方が気がラクだったから、無理に誘わず、なるべく静かに家を出た。
私はパンダが好きで、パンダの前に一時間位いたっけ。
だって、パンダが眠っていて動かなかったから。
いつか動いて目の前に来てくれる瞬間を待っていた。
結局、パンダは来てくれなくて……。
涙目でいたら、お父さんがソフトクリームを買ってきてくれた。
私はそれでご機嫌になったんだった。
お父さんはライオンが好きで、私は怖くてお父さんの背中の後ろに隠れていたっけ。