プリンの味がする甘いキス。

カラメルの匂いと唇のやわらかさが心地よい。

私のアヒル口がセクシーな幸福で満たされている。

ずっとこうしていたい。そう思いながら、うっとりしている私。



「終わったぞ」


「へっ」


「だから終わったって、キス」


慌てて目を開けると、天野くんは再びプリンを食べていた。満足そうな笑みを浮かべて。


「やっぱ天然だな、梨織は」


「ぐっ……」


おひさまプリンは私にとって特別なプリンになった。忘れられない最上級のデザートに。



それを堪能した後、お風呂へ入った。勿論、一人で。

天野くんのうちには沢山の入浴剤があって、どれでも使っていいと言うから、私は必ず、色がしっかりとついているものを選んだ。

今日は乳白色。

これなら、お母さんを思い出さずにすむ。


だけど、体を洗っているとまた思い出す。


───お母さんの顔。

そして、立ち昇る煙とあのニオイ。