天野くんは冷蔵庫のドアを開けるとなにかを持ってきた。
「なら、これ食ってもう一回しよう」
「わー、おひさまプリンだ」
「さっきこっそり抜け出して買ってきた。これ食ってもう一回な」
私、頷いていいの? っていうか恥ずかしい。頷けないよ。
天野くんはそんな私の頭を手で押した。
無理やりの同意だけど、同意したかったから、よかったと思う。というかもうわけわかんない。嬉しすぎて。
天野くんとのキスもおひさまプリンも。
銀色の美しいスプーンでプリンをすくう。
それを口に運ぶ。
「んー、とろける」
「うまいよな、ここのプリン」
「でもよく買えたね。雑誌で取り上げられてから予約がないと買えなくなった、って聞いたよ」
「しといたんだ、予約。梨織のために」
天野くんはそう言いがら私に二回目のキスをした。