食べ終わった後、二人でキッチンに立った。
天野くんがお皿を洗って、私が布巾で拭いて。
お皿を受け取る瞬間瞬間に手と手が触れて。
きっと新婚さんもこんな優しくて温かい気持ちになるんだと思った。
気分は同棲から新婚さんへと移行した。
「あっ!!」
「なんだよ、びっくりすんだろ」
「英語のプリント。私、英語苦手なんだ」
「そんな事ないだろ」
「そんな事あるの。英語、すっごい苦手。日本人なんだから日本語だけ話せればいいじゃん、って思う」
「よし、俺が教えてあげましょう」
「蒼太くん、英語できるの?」
疑いながら、天野くんの部屋の机に向かい、裏側に書いてしまった玉ねぎやひき肉たちを消した。
幸いにもシャーペンで書いてあったから、消しゴムが私を救ってくれた。