煮込んだハンバーグにとろけるチーズを乗せ、余熱で、とろとろーん。


「すげーいい匂い」


天野くんが待ちきれないとばかりにキッチンへやって来て、おにぎりをパクっ。


「あー!! まだ食べちゃだめ」


「もう食っちゃった。うまい。この鮭フレーク。最高だよな」


「それって、おにぎりがうまいんじゃなくて鮭フレークがうまいんでしょ」


鮭フレークの瓶を天野くんに見せた。


「女ってそういうとこ、こだわんのな」


「こだわるよ」


ふてくされながら、ハンバーグ、人参のグラッセ、かぼちゃのグリルを真っ白なお皿に盛りつけ、テーブルへ運んだ。


笑顔の天野くんとふてくされたままの私が向かい合って座る。


「いただきまーす」


「……いただきます」


テンション低めの私。だってね、鮭は切り身をスーパーで買おうとしたんだよ。


それを焼いておにぎりに入れようと思ってたのに、天野くんが「うちにある鮭フレークがいい」なんて子供みたいに言うからさ……。