《美鈴にカラオケ誘われた。みんなくるみたい。梨織もこない?》

《怜華がお昼、みんなで食べよう、って》

《香奈が今から渋谷に遊びに行くって。梨織も行く?》



私のケータイはルミのためだけに存在しているようだった。

こんなふうに誘われて、ほいほい着いていくほど、私は鈍感じゃない。


だから私は、高校生になったら新しい私になろうと思っていたのだ。

学校はできるだけルミ以外同じ中学のコがいない所にしたかった。


幸いにもルミより私の方が学力は上で、ルミが受験すると言った『横浜美咲高校』はスベリ止め以下の所だったし、同じ中学のコはほとんど受験しなかった。


それに、プールが存在しないその高校は、泳げない私にとって女神のように輝いて見えた。



うちの親は県立ならどこでもいいと言い、なんの反対も賛成もなく私に興味はない。


一人っ子の私より、大切な人が二人にはいたのだ。