今日は八月三十一日。
夏休み最後の日。
そして、あの日。
「お母さん、浴衣の帯、結んでくれる?」
「いいわよ。綺麗な浴衣ね」
「バイトしたお金で買ったんだ」
「梨織も大人になったわね」
お母さんはそう言いながら帯を結んでくれた。
何気ない会話でも嬉しかった。
そして、下駄をカランコロンさせながら、天野くんの家へ。
「蒼太くん、花火、一緒に見に行こうよ」
「実は俺も梨織を誘って見に行こうと思ってたんだ。つーか、浴衣似合いすぎ。めちゃくちゃかわいいんだけど」
うわー、また顔が真っ赤になっちゃうよ。
ぽっ……、と赤い花が咲いたように。
「蒼太くん、その前にね、寄りたい所があるの」