零士が手を差し伸べてくれている。

その手に掴まって、水の中へ。


「足がつく深さだから大丈夫」



ゆっくりと足を伸ばす。


プールの底に着地した。


それは、私にとってロケットで宇宙に行って月面着陸するくらいの不安定さ。


零士の手がなければ、着地できなかっただろう。


「別にさ、セクシーに胸見せたりしなくてもプールには入れるんだよ。もっと自由になれよ」


そっか。


子供の頃のプールの授業は水着だけだったけど、大人になる、ってなにかを犠牲にする代償として自由も手に入れられるのかもしれない。



水着の上にTシャツを着て、プールや海に入れば、火傷の跡も見えない。



でも、今は下着が透けていて恥ずかしい。


また顔が真っ赤になっているはず。