零士はそのまま私の手を引いて、校舎の裏へ。
そこには大きなプールがあった。
私は胸にある火傷の跡を見せたくなくて、水着になった事もないし、プールや海に行った事もない。
物心がつく前ならあるのかもしれないけど、残念ながら記憶になかった。
零士は星柄の洒落たスニーカーとストライプのシャツを脱いで、プールに飛び込んだ。
嘘っ。私は心の中で呟いた。
「さあ、君も」
「やだ。私、脱ぎたくない」
「脱げなんて言ってないだろ。そのままでいいから。靴だけ脱いで、おいで」
また魅惑的な『おいで』
私はチェック柄のスニーカーを脱いで揃えた後、Tシャツとジーンズのままプールに恐る恐る足を入れた。