地下は駐車場になっていた。バイク置場もある。
その中に止まっていた濃厚な赤い色をしたバイク。
「あの赤いバイク、かっこいい」
「あれ、オレの」
零士がそのバイクのエンジンをかけた。
すごい。でも、待って……。
「もしかしてバイクで行くの?」
「当たり前だろ。今この状況でバイクにエンジンかけてまた止めてどこかに、ってあり得ないだろ」
「それもそうだけど」
「はい、乗って」
そう言って零士は私の頭にヘルメットを被せた。
「怖いよー」
「怖かったら、目つぶってろ。そしたらすぐ着くから」
もう仕方ないから走る前から目をつぶった。むぎゅっと力一杯。