今までコンプレックスだった自分の声。

子供の頃、大人しいと言われていたのは、ただ単に自分の声が嫌いだったから。

小学生の頃、男子に真似されて、からかわれて、余計嫌いになった。

でも今は違う。


零士は声を仕事にしてる人。そんな人に好きなんて言われるとコンプレックスもコンプレックスじゃなくなった。

自信が持てた。



ラーメンを食べ終わる頃、店の外が騒々しくなってきた。

「あれラズベリースターの零士じゃない!!」


「本物?」


「今日、ムーンライトでライブしてたから本物だよ」


そんな女の子たちの話し声が聞こえてくる。

店の外から覗いているようだ。

振り返ると暖簾の隙間に目があった。

アイシャドーのラメで魚のうろこのように光っている。

次の瞬間、ケータイのカメラがその目に代わり、こちらへ向いた。



ホラー映画の予告みたい。