その日の夜も零士と一緒に渋谷の街を歩いた。

スクランブル交差点から見えるネオンが宝石をちりばめたようで綺麗だった。

きっとひとりで歩いていたら、こんなに綺麗には見えなかっただろう。


零士のガラス玉のような瞳にネオンが瞬いていた。

その瞳が私を捉えた。

そして、立ち止まると私にキスをした。


零士の少し高めの体温が唇を通して伝わってくる。

渋谷の雑踏の中でキスする二人はまるで原色のネオンサイン。



その後、楽器店へ寄った。

私は楽器なんてほとんど触った事がない。

触った事があるのは、リコーダーとピアニカ、ハーモニカ、カスタネット、タンバリンくらい。

零士は楽器を見ながら色んな説明をしてくれたから楽しくて。

アコースティックギターとエレキギターの違いとか。まだ知らないものに触れるのってすごく新鮮だった。