家に帰ったのは、十一時過ぎ。
明かりがついていて、いつもならもう寝ているはずのお父さんとお母さんがまだ起きていた。
「梨織、こんな遅くまでどこに行ってたんだ」
お父さんが心配してくれたから、私は正直に答えた。
「ライブ、見に行ってたんだ。これからも行こうと思う」
「こんなに遅くまで危ないだろ」
「大丈夫だよ。気をつけて帰るし。夏休みの間だけでいいから」
お父さんは頷いてくれなかった。ああ、せっかくラズベリースターと出会えたけどもう会いに行けないかもしれない。
こんなに早く別れが訪れるなら、もう出会いなんていらない。
そう思って俯いた時、お母さんが言ってくれた。
「いいじゃない。梨織だって夢中になれるものが欲しいのよ」
「だからってな。最近、物騒な事件だって多いんだぞ」
もし、私が親でも反対するかもしれない。